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上手に音楽教室

おごりも目立つようになり、ついに一九九六年後半から、成長が失速してきていた。 一九九七年七月二日、タイ中央銀行は通貨パ-ツの変動相場性への移行を発表し、たくまに三ここ数年、ASEAN諸国は互いの結びつきを強め、域内での経済の相互依存体制を強めていただけに、先頭を走っていたタイで起こった通貨不安がドミノ現象をもたらす結果となった。
シンガポール、マレーシアをはじめとする比較的経済状況がよかった国々でも通貨が下がっているこのため、タイでは著しく販売台数を落としているが、東南アジア諸国でも、263一九九七年後半から販売台数が減少傾向に入ったため、この年のタイ、フィリピン、インドネシア、ポールの五ヵ国を合計した新車販売台数は一九九六年より二十万台少ない百三十万台になった。 一九九六年四月にタイでアジア戦略カ-の「シティ」を生産・発売し、一九九七年春まで順調に販売台数を伸ばしていた本田は、この年の目標を五万台としていたが、結果は三万七千台にとどまった。
さらに翌九八年にはフル生産の六万台を目指していたが、も大幅な下方修正を余儀なくされた。 「ソル-ナ」を投入したトヨタも同様で、タイ市場での自動車販売台数は、通貨危機が表面化した七月には、前年同期の三二パーセント減にまで落ち込んだ。
結局、一九九七年は、前年の三四・七パーセント減の十万七千台にまで落ち込んだ。 一九九七年十一月には、バンコク近郊にあるトヨタのサムロン工場や、「ソル-ナ」を生産しているゲートウェイ工場が操業を停止した。
年末には再開したが、週二日程度しかラインは動かしていない。 このため、タイにおける一九九八年の全生産台数は十五万台にも達しないとする見方もでている。
この急減は、買いたくても、通貨危機で自動車ロ-ンが組めないこともかなり影響している。 まだ現地生産率が低い「シティ」「ソル-ナ」の両車とも、日本からの部品や材料の輸入割合が多いため、ただでさえ赤字の生産コストをさらに押し上げている。
タイに進出している日本の自動車メーカー各社は、たとえば、トヨタの工場のように昼夜交替から昼だけの生産に変更した。 日野自動車は一九九七年の販売台数を当初計画の半分以下の六千台に修正した。
一九九八年三月、ダイハツはタイでのノックダウン生産を打ち切った。 一方、タイからヨーロッパや日本へとピックアップ・トラックを輸出している三菱は、逆にパ-ツ安に乗じて輸出量を前年の三倍に増やした三万八千台としている。

パーツ切り下げは日本からの進出企業の明暗を分けているが、通貨下落によるメリットを生かして、現地調達率を思いきって引き上げたり、本田のようにタイ製の「アコ-ド」をオーストラリア、ニュージーランドへ輸出することを決めたりして、何とか操業を維持しようとしている。 一九九七年九月、アジア経済研究所は研究レポート「東アジア長期経済見通し」を発表した。
によると、東アジアの経済は、世界貿易における地位をより高めていくとしており、二十一世紀には、東アジアが世界市場の供給基地として中心的な役割を果たすものと分析。 ため、中進国でもあるマレーシアとタイは、労働集約型から資本集約型への産業の高度化が必要と説いているタイの通貨危機によって成長率が一時的に低迷するが、財政や金融の引き締めによって、ニOOO年以降はやはり七、八パーセントの成長率を保てるとしている。
急激な発展をとげてきたアジア諸国は、経済の足腰が脆弱なだけに、日本からの生産のシフトは、こうした不安定要素を抱え込みながら慎重に進められていくことになろう。 今後とも、景気や通貨の変動、政治的な要因で大きく揺さぶられるアジア諸国への進出は、きびしいメガコンペティシヨンの時代を迎えて、さらなる試練にさらされることになる。
一九九七年七月、日本興業銀行が「メガコンペティシヨン時代入りした自動車産業」と題するレポートを発表した。 それによると、一ドル九十円から百円の円高ケースならば、二OO五年における海外生産の台数は九百二十五万台となって、圏内生産の九百二十万台と逆転する。
出は急減して二百二十五万台となると予想している一ドル百十円から百二十円の円安ケ-スならば、圏内生産は一千二十万台でほぼ現状の水準となり、海外生産は現在の約二倍の八百九十万台程度になるとしている。 輸出はやや落ち込んで三百万台としている。

とくに、この数年で、アジアや南米において現地生産が増えるため、過剰設備、過剰生産となって販売競争はいっそう激化し、「日本メーカー十一社はまま存続しないと考えるのが自然」と指摘している。 一九九八年三月期決算をみると、日本も長引く不況の中で、自動車メーカー聞の業績の格差が際だっている。
低迷している自動車メーカーの株は二、三年前の数割安となり、一方で、円も二、三割安となっている。 このため、業績が史上最高を記録するなど、好調な経営の欧米自動車メーカーからすると、いまこそ、日本の自動車メーカーは買い時である。
日産ディーゼルなどは、数年前の七、八割も安く買えることになる。 日本以上に、通貨および株が大幅な下落となっている韓国や東南アジアのメーカーはなお買い時である。
GMやフォードが韓国の自動車メーカーをターゲットとしての提携関係から、持ち株比率を大きく引き上げて、一挙に傘下におさめようとする動きにでている。 トヨタでは、まで東南アジアで生産してきた自動車ボディなど主要な部分に使う上質の鋼板は、品質の問題から新日本製鉄など日本で調達していたアジア通貨が大幅に下落して、日本から輸入する鋼板の価格が急上昇したアジア市場の落ち込みで販売競争は激化したため、分を価格に転嫁できず、生産台数が減って製造コストをさらにアップさせた。
このため、今後は低価格の外国製、たとえば韓国、タイ、インド、オーストラリアなどの鋼板の使用量を増やして、コストの抑制を狙っている。 日本の製鉄メーカーにとっては、この処置に衝撃を受けている。
同じようなことが、樹脂やアルミなどの原材料メーカーでも起こっている。 いずれにせよ、アジアでの生産は、この経済停滞下でどれだけ長く持ちこたえられるか、がまん比べの時代になってきた。
経営戦略もさることながら、資金的な余力をどれだけもっているかが重要になってくる。 どのメーカーも、までのような短期的利益を追求する姿勢では、アジアで生き抜いていくことは困難だろう。
日本は昭和四十年代前半まで、通産省が掲げた国民車構想がきっかけとなって、業界を活性化させた。 アジアのほかの国でも似たことがいま起こっている。
交通渋滞もさることながら、車からの排気ガスや工場の煙突から吐き出される煤煙、石炭の使用などによって、先進国よりはるかに大気汚染が進んでいる。 車が古いこと、排ガス対策が施されていないこともあるが、工業化の進展とともに、今後ますますひどくなるおそれがある。
エネルギー需給の問題も深刻である。 十二億人の人口を抱える中国は、すでに石油輸入国になっている。
さらに、人口九億人のインド、五億のASEAN諸国など、アジアの人口は膨大である。 世界の自動車保有台数は一挙に上昇、それにつれてエネルギー問題が起こり、石油の逼迫、価格の高騰が必歪である。

そうなると、エネルギーの文明史的転換が不可避となろう。

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